図面もデータもないアルミ鋳物の金型化

図面もデータもないアルミ鋳物の金型化

2023-07-25

鋳造金型の彫刻加工とデザイン彫刻文字のリバースモデリング

弊社のお客様の中には、“数は少ないけれども、現在も流通しているアルミ鋳物製品やシェル中子”を生産している会社様が数多くいらっしゃいます。
その様なお客様は「金型がかなり傷んできていているけれど、生産数が少ないので、コスト的に新規に金型を更新することもできないし、金型の修正や補修を行うにも、昔からの金型で“図面がなく、もちろんデジタルデータも無いために、修正しようにも修正できず、非常に困っている”のが現状です。

 また、最近は、金型やアルミ鋳物製品を納品するにあたり、三次元測定機などで測定結果を一緒に納品するという流れもございますが、弊社のように「3Dスキャナから取り込んだSTLデータを金型化するための、リバースエンジニアリングシステム」がないお客様もいらっしゃいます。

弊社では「図面やデータも無く、鋳造されたアルミ鋳物製品しかない」お客様から、アルミ鋳物製品をお預かりして、製品をスキャニングし、そこから得られたSTLデータをTebisのリバースエンジニアリングシステムで、金型化のモデルを作成することが可能です。また、お客様からSTLデータをご提供いただければ、弊社のリバースエンジニアリングシステムで、金型化用のデータに面を貼りなおすことも可能です。

STLデータを出力することは出来るけれど、そのデータを「金型の修正に耐えうるモデルに変換できないで困っている」ですとか「古い金型の修正で困っている」といったお客様、是非一度、弊社にご相談ください。

図面もデータもない!古い金型の修正リバースエンジニアリング

「古いシェル中子金型の修正の様子」として、ご覧いただきます。

何十年にわたり使われている金型は、かなり傷みも激しく、金型の平行度を測定すると、金型自体に“歪み”が生じています。それを出来る限り、加工に支障の無いように、スペーサーを嚙ませたりと工夫し、平行度を出していきます。

この使い込まれた金型の修正は、ワークのセットまでに、何度も何度もダイヤルを這わせますので、非常に時間もかかり神経を使い、経験値が必要となってきます。

今回のこのシェル中子金型の修正は、中央の孔の部分を、大きく、くり抜き「入子式」にするという修正です。この入子の製品部分となる個所において、3Dスキャナでスキャニングし、リバースエンジニアリングシステムによって、フェースを張り替え、元々の形状を忠実に再現し、入子式の入子形状を作成します。金型の平行をとったら、更に“丸い穴の芯出し“を行い、このシェル中子金型の「基準位置」を決めます。

出来上がった新しい入子を、古い金型にはめ込んだら「段差ができてしまった」というようなことが極限まで起こらない様に、現場作業者もリバースモデリングを行う作業者も、非常に熟練した技術力が必要です。

古い金型を修理して使い続けたい!図面もデータもない金型の修正

古いシェル中子金型の修正の第二回目になります。
金型の曲がりや歪みを補正しながら、金型の直角・平行を出し、基準を決めることが出来ましたら、ようやく加工に入ります。今回の修正内容は、「この金型で成形されたシェル中子では、形状がきちんと出ておらず、シェル中子を使って成形されたアルミ鋳物製品が、不良になってしまう」という事で、問題の製品部を含め、金型の裏側から大きくえぐり、そこに別ピースで製作した、製品形状の入子をはめ込むという修正になります。

もちろん、製品形状を含む入子の製作には、あらかじめATOS 3Dスキャナで、金型形状をスキャニングし、STLデータを作成。更にこのSTLデータを、Tebisのリバースエンジニアリングシステムにおいて、「金型化データにするため、歪んだフェースの張替えを行う」作業を行っていきます。

Tebisリバースモデリング ATOS3Dスキャナ リバースエンジニアリング

弊社のATOS 3DスキャナとTebisのリバースエンジニアリングシステムによるシェル中子金型の修正。こちらの最終回になります。

前回の2つの動画から、NCフライス加工で、あらかじめ入子の孔開け加工を行い、ここに旋盤加工で製作した入子の素材を入れます。準備が出来たらいよいよ高速切削加工機で、加工を行います。

弊社の半世紀に渡る「外観意匠モデリング技術」と最新の「Tebisのリバースエンジニアリングシステム」の融合による“リバースモデリング”によって、高品位な面形状に生まれ変わったSTLデータを元に、NCデータを出力。出来上がった製品部分の“段差”もほとんどなく。きれいな仕上がりとなりました。

お客様からは「今まで、何度も修正を考えたが、費用の面や技術的な面から、修正をあきらめていたが、成形されたシェル中子の出来も良く、今まで問題の部位については、粘土を塗るなどの後処理に多大な労力と時間を割いていた。それもなくなり、アルミ鋳物製品のクレームもなくなった。本当に頼んでよかった」とお言葉を頂きました。